天津日は

天津日は

武蔵の海より遥はろかに/富士の入り日を詠める/敏雄/天津日あまつひは金色にもえて沈むへに/すみきはまれる紫の富士

昭和17年

昭和17年10月27日、誘われて千葉県船橋沖ではぜを釣った折に詠んだ歌。
歌意は「太陽が金色に燃えて沈むあたりに、澄み極まっている紫色の富士」。「入り日」は夕日。
敏雄は、仮名の線は強くしなやかでなければいけない、と説いている。「充実し切った強さの美」こそ、敏雄の仮名作品の特質である。