命がけで訴えたもの―三、確立


純情な心境を求めて

  丸山敏雄は発掘した生活法則を、「純粋倫理」あるいは「実験倫理」「新しい倫理」などと呼んだ。
  仏陀(ブッダ)はもともと宗教の教えを説いたのではなく、人間の生きる道、すなわち倫理を説いたのだと説く仏教学者・増谷文雄の論考にヒントを得たことから「倫理」という呼称を用いた。
  その生活法則の核をなす心境は、「明朗」「愛和」「喜働」の3つである。これがそのまま実践の指標となる。
  「明朗」とは、明るく朗らかな心。表面的な明るさではなく、こだわりやとらわれが何もない心。憂鬱・心配・怒り・焦りを抱かず、晴れわたった大空のように澄んだ美しい心を持ち続けることだ。
  「愛和」と「喜働」は、丸山敏雄の造語である。「愛和」とは「なかよく」ということにほかならない。愛によって和(和合、調和)が生まれ、人間関係や物事が順調に進んでいく。親子・夫婦の愛和は家庭の幸福を、職場内の愛和は会社の発展・繁栄を、社会の愛和は人類の幸福と平和を生み出す。
  「喜働」とは文字通り、喜んで働くことである。いやいやながら働いたのでは何事も成就しない。働くことそれ自体が喜びなのだ。我欲を捨て、無心になって仕事に取り組んだとき、この上ない喜びに満たされ、エネルギッシュに生きることができる。
  これら「明朗」「愛和」「喜働」は別々ではなく、三位一体のような関係にある。そして、この三つをさらに一歩押し進めてみたとき、「純情(すなお)」という言葉に帰一する。「純情」の心境を保つことが、生活法則の核心にほかならない。

「ふんわりとやわらかで、何のこだわりも不足もなく、澄みきった張りきった心」

  丸山敏雄は「純情」の心をこう表現した。いつでもどこでも何の迷いも煩いもなく、明朗闊達、小児のように無邪気でのびやかな曇りのない心、この心に徹したとき、人の働きはまことの働きとなって開花結実する。直観は冴えわたり、生活は水が流れるごとく遅滞なく進行していく。

新世会創立3周年
新世会創立3周年、共立講堂は人で埋め尽くされた。