丸山敏雄ウェブー倫理運動の創始者 その生涯と業績

倫理の道標

丸山敏雄の発見した幸せになる生活法則

39. 気づいたらすぐする

たった一つのこの行動が、成功の鍵となる。

まず習慣化させること。そうすると、自分が変わる。

人生が変われば世界も変わる。

丸山敏雄は、「気づいたらすぐする」、いわゆる即行の実践をした人であった。それは生涯変わらなかった。娘時代から敏雄を師と仰いだ織田セツは、こう語っている。「ある朝、散歩に出られた時、急に立ち止まられて、サッとふところからハガキを出され、矢立でサラサラと文面をしたためられ、『すみませんが、これをポストに投函してください』とおっしゃいました。それを拝見していて、即行の見事さに、ただ感銘を受けたのをおぼえております」
敏雄はなぜ、即行を心がけたのか。

長崎女子師範学校教職員室での執務の様子

彼は、40歳の時、己の研鑽のため、修行の生活に入っていた。その時、恩師から熊本に行き、さらなる心境の開拓を言いつけられた。
「熊本に行って私が修行しなくてはならぬのは何が一番でしょうか?」
「お前は、心配するくせがあるのが、大悟徹底の一番のガンである。それを除くことに懸命になれ」
「心配のくせを除く実践は、何が大切でしょうか?」
「悟ると共に働く、気づいたことを何の躊躇もなく、直ちに断行することだ。これを一貫してやっている中に、真理をつかむことが出来る。そうしたなら自然に心配するくせが消えてゆくものだ」
「はい、必ず真剣に実行いたします」
敏雄は、学究肌の人間であった。だが、思うばかり、考えているばかりでは何も変わらない。師は、気づくと同時に行なうことが、真理をつかむコツであると教えたのである。敏雄は忠実に実行を続けた。そして、後に彼の教えの集大成である『万人幸福の栞』の第一条にこう書いた。

一日は今の一秒の集積あつまりである。今を失う人は一日を失う人、そして一生を棒にふる人。「時は金なり」と言う。しかし、金はとりかえせる。時は再び来ない。「気づいた時、気がるに、喜んでさっと処理する」「気づくと同時に行なう」――これは成功の秘訣、健康の秘法である。(中略)気づいた時――それはその事を処理する最高のチャンスである。それをのばせば、次第に条件がわるくなる。事情の最も高潮に達した時、その波動うごきが、人の脳に伝わって気がつくようになっている。

「気づき」とは何だろうか。それは、人間の常識や理屈を超えたところから発せられる大自然のメッセージであり、「今だ、やりなさい」という天の至上命令と受けとめることができる。
気づいたら、すぐ電話をする。心配事がきざしたら、すぐ対策を考え、一つでも手を打っておく。こうした習慣を身につけると、直感能力は、鋭敏になり、無限に向上していく。洞察力、決断力などあらゆる能力が高まっていく。
素直に従って、グズグズせず、後まわしにせず、気軽にサッと片づける。そんな人は、思わぬビッグチャンスに恵まれたり、間一髪で危難から免れたりする。成功者は、例外なく即行の実践者である。