丸山敏雄ウェブー倫理運動の創始者 その生涯と業績

倫理の道標

丸山敏雄の発見した幸せになる生活法則

41. 断固たる決心が道を開く

世の中には、自分はどうするのかを決めない人が多い。

行く先を決めないで、汽車に乗り込む。

どこに着くのか、わからない人生なのに、そんなことをしている。

大丈夫だろうか。

「決心」とは決めることである。何を決めるのか。意志である。
普段から、決める習慣を持っていないと、人生の重大な決心もできなくなる。決められない理由は、大きく分けて三つある。

37歳で大学に再入学

敏雄は37歳にして大学受験を決意した(昭和4年撮影)


 

  1. 自分の考えがはっきりしない(曖昧性)
  2. したいことの間に矛盾がある(矛盾性)
  3. 見通しを決めにくい(不確定性)

食堂で迷っている人がいる。カツ丼にしようか、カレーライスにしようか、なかなか決められない。やっとカレーライスと決めて食べ始めたら、くよくよ後悔する。
「やっぱりカツ丼の方がよかったかな、どうだろうか、あっちの方がうまそうだ・・・・・・」
こういう人が信頼されることはない。大きな仕事をまかされることもない。決心するとは自分の意志を信じて邁進することである。
どうすれば、そういう人になれるのか。それは、簡単だ。日常の心がけ次第で容易にできることである。
敏雄は、弟子や会員たちに事あるごとに指導した。ある時、梯子はしごの修理をしていて、若い発送係の青年に、釘を打つように頼んだ。敏雄が、指で釘を支えて、一回、二回と青年が遠慮がちに打ち込んだ。だが、うまく打ち込めない。
「思い切って、力いっぱい打ち込みなさい!」
青年は、敏雄の指を誤って打っては大変だと思い、尋ねた。
「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だ!思い切って打ち込みなさい!」

エーイ、エーイと打ち込み、発止はっし、発止と釘の頭は、みるみる木の中に埋もれていった。 日常の小さな情景であるが、そこにいささかのためらいもなかった。揺らぐことのない自信、そして弟子を信じて疑わない確信。傍らにいた弟子の北奥三郎は、感動をもってその様子を眺めていた。
小さなことに決意を発揮できなくて、大きな決心ができるものではない。言葉遣いにも細かく指導をした。昭和26年の夏、ある会合で、弟子の矢頭俊一が発言をして、「・・・・・・と思います」と結んだ。敏雄はすかさず「『・・・・・・であります』となぜ言わんのかね」とたしなめた。言い切ることができない、つまり、何かしらの含みを持たせ、後に逃げ道を用意しておくような弱い気持ちを嫌った。
敏雄は、曖昧な表現を嫌がった。「するか、しないか、ハッキリせよ」と常に決断の重要性を説いた。日頃の心の用い方によって、いざという時の「決心」ができるかどうか、が決まるのである。